パワエレ制御を理論的に扱うためには、伝達関数は絶対に必要だとわかっているのに、なんとなく苦手意識があって理解できないままにしていませんか?
大学やセミナーで伝達関数を勉強すると難しい数式がたくさん出てきて、伝達関数は難解だというイメージだけが残っているという技術者は多いようです。
私自身も大学の制御工学の授業で伝達関数を勉強して試験にはなんとか合格できましたが、実際には伝達関数が何の役に立つのかまったくわかっていませんでした。
しかし、伝達関数の正体を正しく理解できれば、パワエレで使う伝達関数は難しく考える必要はまったくありません。
今回は、中学生でもわかるレベルで伝達関数の概念を解説しますので、伝達関数は難解だという間違った思い込みを手放して、ぜひ伝達関数の学習に再チャレンジしてみてください。
オームの法則は単純な伝達関数で表される
伝達関数とは、入力と出力との比と定義され、次式のように表されます。
次に、皆さんご存知のオームの法則は、
(電圧=抵抗×電流)ですが、
この式を、伝達関数を使って「入力から出力を得るための伝達関数はである」と表現することができます。
つまり、入力と出力との比で表される伝達関数は、オームの法則の例では
伝達関数
となります。
このような定数も伝達関数の1つなので、最初からあまり難しく考えないようにしましょう。
ニュートンの運動方程式も同じ
伝達関数は電気以外でも使うことができます。
例えば、ニュートンの運動方程式
(力=質量×加速度)で考えてみましょう。
オームの法則と同じように、この式は「入力から出力を得るための伝達関数はである」と表現できます。
従って、伝達関数は
伝達関数
となります。
運動方程式もオームの法則と同じように、伝達関数が定数となる単純な例の1つです。
お風呂の水位変化も伝達関数でわかる
次の例として、物理法則ではなく、お風呂に水を溜めることを例に考えてみましょう。
入力を蛇口から出てくる水の「水量」とし、出力をお風呂に溜まった水の「水位」とすれば、伝達関数は
となります。
この伝達関数がお風呂の底面積で決まることは直感的にわかると思いますが、「水量」が一定であっても時間の経過とともに「水位」は上昇するので、この伝達関数は時間経過とともに変化する特性を含んでいます。
通常の伝達関数はこのような時間に関する特性(情報)を含んでおり、この時間を扱うことが伝達関数を数学的に難しく感じさせる原因なのですが、最初は「水量」と「水位」との関係のようにイメージしやすい概念で伝達関数を捉えてみましょう。
まとめ
以上のように、電気の基本法則である「オームの法則」の抵抗を伝達関数であると考えたり、お風呂の「水量」と「水位」という身近な話で数式を使わずに伝達関数の概念を捉えたりできれば、伝達関数に対する苦手意識をかなり払拭できると思います。
ぜひ難解で苦手というイメージを手放して、伝達関数の勉強に再チャレンジしてください。
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